卵巣がんとは?
卵巣がんは、国内罹患率が増加傾向にあるがんの一つです。
初期症状に乏しいため、発見時の40%~50%がステージIII以降という、死亡率が比較的高い疾患です。
原発がんとしては、大半を占める「上皮性腫瘍」「胚細胞腫瘍」「性索間質性腫瘍」とその他計7種類に大分されますが、他の臓器から転移したがんであることも多くあります。
その7種に加え、更にがん細胞の性質から「良性」「境界悪性」「悪性」の3種に分類されます。
[ 上皮性腫瘍 ]

卵巣がんのうち60~70%を占める腫瘍で、主に分泌腺における腫瘍です。
上皮性腫瘍は場所と細胞の種類により、「漿液性嚢胞腫瘍」「粘液性嚢胞腫瘍」「類内膜腫瘍」「明細胞腫瘍」などに分類されます。
[ 胚細胞腫瘍 ]

卵巣がんのうち、15~20%を占める腫瘍で、生殖細胞に由来する腫瘍です。
どの段階の細胞ががん細胞となったかにより、5種類に分類され、悪性腫瘍であることが比較的多い種類のがんです。
卵巣がんの3大標準治療
がんの3大標準治療は、手術、抗がん剤、放射線治療です。
標準治療とは、臨床試験の結果をもとに、専門家の間で合意を得られている治療法です。
多くの場合で「外科療法」が最初に行われます。その後、種類やステージ等に応じて化学療法や放射線療法が検討される場合もあります。
妊娠に重要な卵巣ですので、妊孕性(妊娠できる状態を維持)の温存を含めて患者さんと相談しながら方針を決定します。

外科療法(手術)
手術には腹腔鏡下手術や開腹手術が選択されます。
患者さんと相談したうえで妊孕性温存手術(妊娠できる状態の維持する術式)を選択するか、標準的な切除術を行うかを決定します。
ステージIの特定の時期以降は、手術後に化学療法を行います。

放射線療法
以前は卵巣がんに対し放射線療法が良く行われていました。
現在では、ほかの臓器に転移した場合に治療・症状緩和目的で行うことはありますが、卵巣自体に対してはあまり放射線治療が選択されることはありません。

化学療法(抗がん剤)
乳がんでは、再発リスクが少なくなく進行がんの割合が高いため、多くの症例で化学療法を行います。
多くの場合は長期にわたり、寛解(ほぼがん細胞が焼失した状態)後に、再発・増悪予防のために維持化学療法というものを行うこともあります。
そして、卵巣がんの第4の治療法と言われる免疫療法


現在、がんに対する治療技術は目覚ましく向上しています。
しかし、手術・抗がん剤・放射線治療といった標準治療だけでは、期待する効果が得られないこともあります。
こうした状況の中で、新たな選択肢として注目を集めているのが「免疫療法」です。
がん細胞は健康な人でも1日に約5,000個生まれていますが、細菌やウイルスなどの外敵を排除する免疫細胞によって排除されています。
「免疫療法」は免疫細胞を採血により取り出し、培養・強化して再び投与することで、自己の免疫力によりがん細胞を攻撃する治療法です。
がんの勢いを抑える標準治療と組み合わせることで、治療効果の向上が期待できると言われています。