乳がんとは?
乳がんは乳管がんや小葉がんなどのいくつかの種類に分類されます。
40~60歳代の女性によくみられるとされ、マンモグラフィーや超音波検査によって診断されます。
「乳がん」と聞くと「乳房切除術」を思い浮かべる方も少なくないと思いますが、近年では「乳房温存術」という形式の手術も多く取られるようになってきました。
リンパ節等への転移が疑われる場合は、手術と同時にリンパ節郭清や放射線/化学療法が行われることもあります。
[ 乳管内進展乳がん ]

乳がんにおいて、乳管内に沿って周囲組織に広がっていく種類のがんです。乳管内のがん細胞の範囲が広くなると、手術の際に広い範囲の乳房切除が必要となり、乳房温存療法が難しくなります。
[ 間質浸潤乳がん ]

乳がんのうち、乳管の壁を破って周囲組織に広がっていくタイプです。間質という場所にがん細胞が進出していくと、血管やリンパ管も間質に存在するため、リンパ節転移や遠隔転移をきたしやすくなります。
乳がんの3大標準治療
がんの3大標準治療は、手術、抗がん剤、放射線治療です。
標準治療とは、臨床試験の結果をもとに、専門家の間で合意を得られている治療法です。
乳がんは検査に表れない大きさで全身へ転移している可能性が高いため、乳房だけでなく全身を視野にいれた治療が必要と言われています。
そのため、外科療法や放射線療法のほかに、多くの場合で薬物療法を行って全身の治療をしていきます。

外科療法(手術)
乳房のがんに対して「乳房温存手術」か「乳房切除術」、リンパ節転移が疑わる場合は「腋窩リンパ節郭清」、そして切除後の胸部に対して「乳房再建術」という手術が行われます。
手術方法の選択は、転移などの状況も鑑みて総合的に患者さんと相談していきます。

放射線療法
乳がんでは、乳房温存手術を行った方や、リンパ節転移がみられた方に対して放射線治療が検討されます。
手術後に行われることが一般的で、放射線により特定の箇所のがん細胞の減少・消失を図ります。皮膚炎や腕のむくみがみられることが多くあります。

化学療法(抗がん剤)
がんのタイプや状態により、術前か術後、もしくはその両方で薬物療法が検討される場合があります。
乳がんの薬物療法では、がん細胞の感受性によって、「化学療法」だけでなく「分子標的治療薬」や「ホルモン薬」の複数剤投与が検討されることもあります。
そして、乳がんの第4の治療法と言われる免疫療法


現在、がんに対する治療技術は目覚ましく向上しています。
しかし、手術・抗がん剤・放射線治療といった標準治療だけでは、期待する効果が得られないこともあります。
こうした状況の中で、新たな選択肢として注目を集めているのが「免疫療法」です。
がん細胞は健康な人でも1日に約5,000個生まれていますが、細菌やウイルスなどの外敵を排除する免疫細胞によって排除されています。
「免疫療法」は免疫細胞を採血により取り出し、培養・強化して再び投与することで、自己の免疫力によりがん細胞を攻撃する治療法です。
がんの勢いを抑える標準治療と組み合わせることで、治療効果の向上が期待できると言われています。