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2014年9月17日世界初のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した再生医療

~ 滲出型加齢黄斑変性症に対する移植手術が成功 ~

 2014年9月12日、先端医療振興財団(神戸市)と理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した世界初の臨床研究を行った、と報告した。

 加齢黄斑変性症を患う70代女性から採取した皮膚細胞からiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シートを作製し、このシートの移植手術を行った。

 加齢黄斑変性症は有効な治療法のない難病で、年齢とともに視力が低下し、進行すると失明に至る。黄斑部は網膜に存在し視力に関わる機能を持ち、正常ならへこんだ形状をしている。加齢黄斑変性症のうち、日本人に多いタイプの滲出型加齢黄斑変性は、加齢により網膜の下部に存在する網膜色素上皮が劣化し、異常な血管(新生血管)が作られることで黄斑部が押し出される形で変性し、新生血管から漏出する血漿成分や出血で網膜が傷つき、視力の低下が起きる病気である。

 加齢黄斑変性症に対する現在の治療法は、抗血管新生薬である抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療などが挙げられるが、新生血管を抑制するだけで傷ついた網膜色素上皮を修復することはできない。今回の臨床研究では、被験者の網膜下に存在する新生血管や傷ついた網膜色素上皮を除去し、その場所に1.3mm×3mmの自家iPS細胞由来網膜色素上皮シートを移植した。

 当臨床研究は移植した細胞が体内で異常を起こさないかどうかを探る安全性の検証を主な目的としているが、症状改善にも期待が寄せられている。

 しかし、1.iPS細胞を作る際にどんな変化が起きているか完全に解明できていないこと、2.患者の細胞からiPS細胞を作り、iPS細胞由来網膜色素上皮シートを作製するまで約10カ月かかること、3.費用が数千万円かかること、4.移植した細胞ががん化するリスクがあること等、普及には多くの課題もある。

 今回の臨床研究は、あくまで安全性の確認であり、治療として確立するにはあと10年かかると言われているが、順調に進めばiPS細胞から治療の目的となる細胞を体内に移植しても問題がないことが証明でき、加齢黄斑変性症やパーキンソン病、脊髄損傷、心不全など、治療法が限られる難病に対する臨床研究の取り組みが大きく前進する。

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